現代語訳『源氏物語』

 『源氏物語』の翻訳は今までもたくさんあったけど、自分で言うのもなんだけど、読もうと思ってもことごとく挫折してしまって、どうせ挫折するなら原文の方を読んでやろうと思って読み始めたのが、講談社学術文庫の北村季吟さんの『源氏物語湖月抄』だった。

 幸い『源氏物語湖月抄』にはたくさんの注釈が親切に添えられていて、教科書ガイドみたいで、いろいろ役に立った。季吟さんは芭蕉さんの師匠でもあり、やはり凄い人だったんだなと思った。

 俳諧や連歌の方も好きだし、古い時代を再現するということに興味を持ってやってると、わかってきたのは、昔の人だって今と同じようにみんな笑いを求めていたということだった。

 今の文学はよくわからないし、いつも読むのはラノベばかりなので、文学がどうのこうのではなく、とにかく何か楽しんで読める古典があったら良いなと思う。

 実際『源氏物語』の原文を読み始めてみると、結構面白い言葉遊びが沢山あって、ああ、『源氏物語』って本当は額に皺寄せながら読むようなものではなく、笑いながら楽しんで聴くものだったんだな、と思った次第で、そうなると、これを現代語で再現出来たらなと思った。

 多分『源氏物語』はあの時代の女房の間の娯楽で、女房達が人の恋のうわさ話を楽しむような、いわゆる恋バナという所から誕生したのではないかと思います。

 目の前で紫式部さんが楽しそうに話しを聞かせてくれて、ときおり駄目な源氏の君のやることなすことに突っ込みを入れてなんて、そんな雰囲気が出せたらなと思って訳してみた。